注意 ・若干ダーク×リンク臭い ・鬱が嫌な人ターン推奨 ・読みにくい ・文体が鬱陶しい ・まわりくどい どうして自分はここにいるのだろうと。 そう、思ってしまった。 リ・トレイス 存在意義の再思考 今ここに人格――意思、を持ち自我を形成している理由というのは酷く明快だ。 あいつが望んだから。 自らという存在を詳細に望んだわけではないけれど。 かみさまに愛されすぎた少年は漠然と望んでしまった。 自分を許してくれる、肯定してくれる、愛してくれる、そんなモノが欲しいと。 かみさまはあいつを許していたし肯定していたし愛していたからその望みを叶えてはくれなかったけれども。 愛されすぎて神に近くなっていたその体は無意識に力を振るい内に眠る俺を呼び醒ましてしまった。 潜むように眠っていた影。 目醒めた俺は望まれた通りに許し。 肯定し。 愛した。 無条件かつ全身全霊で。全存在をかけて。女神の目をすり抜けて。 抉られたあいつを補完する為に。 それは間違っているだろう。 正しさなんか欠片も無くて。 狂気が蔓延して蝕んで。 それでも、俺はあいつを受け止めた。 それで構わないと、思った。 愚かしいほど滑稽な話だ。 陳腐でありふれて馬鹿馬鹿しかった。 ◇◆◇◆◇ 「ん……。」 手を繋ぐ。 影を繋ぐ。 体を繋いで 心を繋ぐ。 「……き……め、て」 「望むのならば」 「……ぐさ……て?」 「それが望みなのなら」 「……なれ……いで」 「出来うる限りに」 「一人にしないで」 「ずっと一緒にいる」 ぼくはきみで きみはぼく そんな他愛ない言葉にさえあいつは笑う。他者と繋がっているというだけで酷く安堵する。一人だと思うだけで地獄に晒される。 不安定な不安定な、ちいさく弱々しい子供。 世界を救おうだなんてことがそもそも無茶だったのだ。こんなに小さいのに、こんなに脆弱なのに、そんなの無理だったのだ。 身に余る、分不相応な願い。 だから残虐な罰を与えられてしまった。 「大好きだよ、愛してる。だけどそれは最早呪いにも近い感情なんだ。彼女はいないのに、二度と逢えないのに、その想いは絶対になくならない。なくさない、なくせない」 「一人は怖い。独りはもっと怖い。でも誰かのそばにいるのはそれらと比較にならないぐらいに恐ろしい。いずれ喪う時が来るのであれば、もうなんにも要らない」 「それでも誰かの手を恋しく思うときがあるのは何故だろう。誰かがまた俺に笑いかけてはくれないかと浅ましくも願ってしまうのは何故だろう」 「俺は、たぶんもう"まとも"な人間じゃない。いいや、最早人間ですらないのかもしれない。――死ねない子供を、誰がヒトと認めようか。俺はただの異端だ。見方によってはこの世界における異質なひとがたの化け物にすぎない」 「死にたいよ。なんで生きてなきゃならないんだ。あのひとがいない世界なんて何の価値もない。生きてる意味なんて、何一つありはしないのに」 「どうして俺は生きている?」 震える手は信じられないぐらいに弱々しかった。泣き付く顔は子供じみて苦しく、惨めだった。 魔王を倒した結果がこれか。 願いを叶えた結果がこれか。 世界を救った結末が、これか。 「こわいよ」 「さみしくて、くるしいよ」 「いたくてつらくてたまらない」 「俺は――――」 孤独。 それがもっとも端的にその仕打ちを表した言葉だった。 出会いは全て無かったことに。 思い出も全てなきものに。 ありとあらゆる「時の勇者」に関わる全ては抹消され。 はじまりから終わりまでを共にした妖精は女神の手で剥奪された。 何が悪かったのかはわからない。本当は何も悪くなかったのかもしれない。 しかし事実は頑としてその主張を、現実を譲らなかった。 時の勇者は世界から剥離し隔離され、締め出された。 だから。 「俺がそばにいる」 「たとえ世界の全てが敵にまわったって」 「俺は永遠にお前だけの味方だ」 「絶対に一人にはしないから」 「独りには、しないから」 世界が"それ"を拒絶しようとも。 世界の全てが"それ"を殺そうとしても。 「かつて勇者と呼ばれた」か弱く幼い少年を、 たぶん俺は護り続ける ◇◆◇◆◇ あいのことばはなんですか? ちかうことばはなんですか? すきのことばはなんですか? それのなまえはなんですか? 「どうしてダークは生まれたの?」 「お前が俺を倒したからだよ」 「ふうん、そう」 「疑わなくともいいだろう」 「そう?」 「俺は、お前の鏡だ」 「そうだね」 「お前のものだ」 「……そうなの?」 「"あの日"そう誓っただろう」 「じゃあ、そうなんだろうね」 ろくでなしの神様。 この関係は醜悪ですか。 救いを求めて自分にすがるのは醜いですか。 自分を愛するのは悪ですか。 壊したくないから、 世界を拒絶するのは、 浅はかですか 答えを決めるのは、誰? ……end or continue? |