※オフ本のサンプル
※ベクセカ(零セカ)で姉弟パロ気味?
※近親相姦描写・妊娠要素等含む
※バリアン組七人とも幼馴染で中学三年生で仲良くしてたり
※中編一本に巻末おまけでおねショタ初夜編込
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サンプル2(R18)





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* * *


 ――女神のようだと思ったのだ。


* * *


「xの三乗……違う、そうじゃない……まだわからないのか? だからその解き方そのものが間違ってるんだ」
「うるせえな。俺が合ってるっていったら、それでいいんだ」
「……。それじゃ、永遠に正解には辿り着かない。零、たまにはさ、俺の言うことを聞いたっていいんじゃないのか。何も素直で従順になれとは言わないから……」
「ハァ? 保護者ヅラされんの嫌いだって、俺が何度お前に言ったと思ってるんだ? 馬鹿なのか? 顔ばっかり綺麗でもなあ、あー……その、なんだ……わ、悪かったよ……」
「…………」
「悪かったって! 知ってるよ……事実お前は俺の保護者で姉貴なんだからな……わかってるよ。それに綺麗なのが顔だけじゃないのも、周知のとこだ」
「……それで、零は、反抗期」
「べつに、そういうんじゃ、ねえけど。姉貴、ただ俺は、」
「いいよ。続きやるぞ。ほら、大問三の問二は一で出した式を使って……」
 姉貴は俺の告白を遮って視線を問題集に戻した。いつもそうだ。姉貴は俺の真剣な言葉を絶対に取り合おうとしない。俺が何を言おうとしてるのか全部わかってるから聞きたくないのに違いなかった。
 姉貴の指先に視線をやる。指ぬきの黒い長手袋。姉貴は大概いつ見てもこの手袋を填めていて、肌の白さによく合っているから決して嫌いというわけではなかったのだが、いつも勿体ないとそう思うのだ。
「ここは、yに代入して……聞いてるのか?」
「ああ、聞いてる。代入するんだろ」
「そう。そしたら、この先やってみて」
 指先。美しい白い肌。体の大部分をきっちりと布をまとい晒そうとはしない姉貴のその肌が露わになる場所は本当に限られている。昔は風呂場に連れ込まれたからいくらでも見ることが出来たけど、中学生ともなるともうそんなことをしてもらえるはずもなく、目に出来る範囲はベッドの上ぐらいまでに狭められてしまっていた。
 姉貴が着ているカーディガンの裾が当たる。柔らかい。姉貴の生肌の柔らかさを思い出して下半身が一人で勝手に高揚する。馬鹿やろう、とひとりで毒づいて俺はここでようやく意識を姉貴から問題集に集中させ、興味のない代数の問いに思念を巡らせた。


 姉貴は、世間体の上では俺の姉ということになっている。真月聖華。世間様にはそれで、真月零の実の姉として通っている、らしい。
 実際俺達は容姿がよく似通っていて、オレンジ色のはねた髪の毛だとか、やや切れ長の目だとか、類似点は指で数え上げられる程度には備えていたので「まあよく似たご姉弟ね」と言われることこそあれど、姉弟関係を疑われたことは殆どなかった。
 だが実際には姉貴は真月聖華などというお綺麗で胡散臭い名前でもないし(彼女がこの偽名をどこから持ってきてどうして用いてるのかは知らないが)、そもそも俺の姉ではないのだ。血が繋がっていないのはもちろん、どころか女ですらない。姉貴の体は、まじまじと見つめるとどちらかといえば男性的なつくりをしていて、恐らくそれを隠すためにいつもきちきちと布を着込んでいるんだろうなと俺にはそう思われた。
 どちらかといえば男であるはずの姉貴だが、俺は役割の必要性からそれを姉として扱った。彼女は俺の母親代わりであり、父親代わりでもあり、姉であり、全てだった。俺の世界は彼女から始まった。必然的に俺は彼女を愛しており、周囲にはシスター・コンプレックスとよく言われていたが、事実としてそれがシスター・コンプレックスなのかどうかは存外疑わしくてブラザー・コンプレックスなのかもしれないしファザー・コンプレックスにも似ているしマザー・コンプレックスじみていた。
 姉貴は俺を女手一つで育ててきた。俺達は、早くに親を亡くし、幸いにも遺産が残ったのでそれで慎ましやかに暮らしている可哀想な姉弟という名目でこの世界に生きている。俺は親の顔を知らない。この世に生まれ落ちたからにはたぶん俺にも血の繋がった父母がいるのだろうが、見たことも聞いたことも興味もない。ひょっとしたら死んでいるのかもしれない。どうであったとして、姉貴さえいれば俺には何のゆかりもない話だ。
「聖華」
「俺、その名前きらい」
「じゃあなんで使ってんだよ」
「零にその名前で呼ばれるのが、嫌」
「あー、はいはい。人の見てないとこで一度ぐらい呼んでみたかっただけだよ。もうやんない。遊馬」
「……ん」
 姉貴と俺の間には肉体関係があって、ベッドの上では姉貴は自分を「遊馬」と呼ばせることを好んだ。男の名前だ。しかし外では彼女は「聖華」と呼ばれてにこやかに応対をしていたし、女として扱われるスタンスを貫いていたので、なんというか滅茶苦茶だった。だいいち俺に遊馬呼びを強いてくるのだってベッドにいる時だけなのだ。
 だから一度女らしい容姿が嫌いなのかと思って、男になりたかったのかと聞いてみたことがあるのだが返事は濁っていてそうでもないみたいだった。
 ただ、昔の名残なのだと彼女は言った。
「れーい、零、真月零……何度口にしてもさ、いい名前だなあっておれは思うんだ」
「いい名前ってさ、これ、遊馬が決めたんだろ。自画自賛じゃないか」
「んーん。その名前は俺が決めたわけじゃない。あえて言えば零が決めた名前なんだ」
「俺が? 意味、通ってないぞ。俺が物心ついたときには俺は真月聖華の弟の真月零ってことになって、幼稚園に通ってたんだから。それより昔のことなんか覚えてもない」
「だろうなあ。でもそれでいいんだ。あれは、ずっと、ずーっと昔の御伽噺に過ぎないんだよ」
「はぁ?」
「お前がいてくれればそれで、俺はいつか、全てを許すだろうから……」
 姉貴は度々理屈の通らない、狂人の詩のような言葉を口にした。それは決まって性交渉が一段落したあとで、姉貴の細い体の中に俺の精液が注ぎ込まれたあとだった。その頃には俺は姉貴の身体を貪り尽くしてくたくたで、だからいつも深く考えることなく姉貴の言葉を流してしまうのだ。考えるまでもなくそれは計算尽くの上での吐露なのだった。
 姉貴の身体はおぞましいまでに中性的な美しさを備えていた。男の身体をしていたが、胸は薄く膨らみを持ち、シルエットはなだらかだった。なよたけのような儚さ。男の器官と女の器官をきっちりと持ち合わせ、彼女は俺を招き寄せる。
 俺に出来るのは姉貴に逆らわずに彼女の望むことを成すばかりであり、それはまるで毒花に吸い寄せられて依存していく愚かな羽虫のようだったが、それが姉貴という存在だったから、もう仕方のないことなのだった。姉貴は依存性の薬物のようなおんなだ。


 俺が初めて姉貴を犯したのはまだ俺が小学生のちびだった頃で、姉貴は中学生だった。
 姉貴はその時処女だった。彼女はたぶん聖女だったのだ。だから聖なる華と名乗っている。



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 上半身裸に下はジーンズを着用したままの格好で戸惑っていた零はうんうん唸るとおもむろにジーンズを脱ぎ捨て、俺の着衣に手を伸ばした。性を教えた頃は丸っこかった少年の手が、もう間もなく、青年の指先へと育っていこうとしているのを感じる。
 零は服を脱がす時、いつも中途半端にそれを行った。行為の最中に乱れていく着衣を見るのが好きなのだといつか言っていたが、それはまるっきり「何故脱がしてしまわないのか、だと? 決まっている。私に犯されて喘ぐ君の身に着ける制服が、最後に精液にまみれてだめになるのを見るのが好きだからだ」と言い切った「真月警部」の横顔と一緒だった。
 結局彼は支配者気質なのだ。従順に隷属的に対象が支配されることを好む。
「セックスしよう」
 零が言った。
「いいよ」
 だから俺は是と答える。
 真月零の望みを可能な限り俺は叶える。彼の欲望を満たしそれを両手を開いて受け入れる。
 そういう契約なのだ。

「ゆーま、ゆうまの、胸……あいっかわらず、ちっせーよなァ? 五年前からさ……ちっとも成長しねえの……」
「仕方ねえじゃん、成長期、ん、終わっちゃったんだから……ぁ、」
「おれはおーきくなったのに」
「でも零は俺の小さい胸すきだろ」
「ゆうまが好きなんだ。他は胸が大きかろうが小さかろうがどうだっていい」
 薄い胸を揉み込むような手つきで撫で回し、乳首をつまみ上げる。これでも、正真正銘の男だった時よりは膨らんでるんだけども、ベクターは俺の少年の肉体を文句どころか愛していたし、そういう問題ではないってのは真実だろう。
「ふあ、ぁ、だめ、だって……」
 前戯とか愛撫だとか、まどろっこしいので嫌いらしい零が唯一欠かさないのが乳首を執拗にこねくり回すことで、母乳をあげて育てなかったことが敗因かなあとうっすら思っていた。出ないものをやることは出来ないので、粉ミルクに哺乳瓶で俺は赤ん坊の零を育てた。人恋しく指をしゃぶる赤ん坊だった子が、姉の乳首を吸うようになるんだから、なんだか、成長って残酷だ。
 乳首の愛撫が十分に済むと、満足したらしい顔つきで茂みに指を這わされる。厭らしい表情。それは隠しようもなく発情した雄の姿で、子孫繁栄の本能に突き動かされる動物の眼差しで、少なくとも弟が姉に向けるものではなく、恋人に向けられるにしては獰猛で思い人に向けられるにしても暴虐だった。雄が雌の屈服を目論んでそこから、ここから、のしかかってくるような。
 舌なめずりの音。散々むしゃぶってきた身体を前に、今日もまた飽きずに晩餐の前の品定めをしている。
「濡れてる」
「そりゃ、あんだけおっぱい吸われたら」
「興奮する、か? 不感症じゃないのは大いに結構だが……あんまり簡単に興奮する性癖でもさぁ……俺は気が気じゃねーんだよ、なッ」
「え、なんで……ひゃうぅ?!」
「俺以外の奴にそういう顔、絶対、ヤだ、から……! 一度でもやったら、お前を殺して俺も死んでやる」
 突き挿れるのに一切の躊躇はなく、従ってタイムラグもなく、俺は予測していなかった動きに不意を突かれて抵抗する間もなく主導権を零に持って行かれる。別にいつも抵抗なんてろくにしないんだけど、今日は特にそのあたりを意識しているらしく性急で、焦りを感じる動きだった。
 侵略者は不随意に動き、ずかずかと無遠慮に俺の秘めたる場所を掻き乱し、暴こうとする。探るように腰を押し進めて散々重ねて覚えた俺の好きなところを途中途中で苛めて、まだ若干閉ざされ気味の膣を割り開いて緩めさせようとする。
「ひぐ、ぅ、ゥ、あ、や、そこやだって、おれがイヤなとこ知ってるくせに……!」
「イヤだァ? 好きの間違いだろ。おとーとに、ン……テンプレートなアダルトビデオみてえな台詞吐かせたいのかよ。――『ゆうまくんはぁ、上のお口は強情なのに下のお口はすっごい素直ですね』ッ!!」
「あ、あぁ、ァ、おくっ、そんなきゅうにいれないで、ッ!!」
「うそつき。いっつも口ではいやだいやだって言いながら……ほんとーは、俺の子供、孕みたくて仕方ねえんだろぉ……?」
 ねっとりした声。「真月零」とか、「真月警部」は絶対に「九十九遊馬」にこういう声色を使わなかった。これは「ベクター」のものだ。あいつは本当にこういう、べとべとして溶けかけた飴玉みたいな声で俺を身体も心も、内から外から嬲るのが好きだったから、俺の身体がいかにはしたないかを一つ一つ指摘しては喜んでいた。
 

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