サトシの恋愛事情における一考察 証明を求められると頼まれもしないのにいちいち出身地から説明を始めるマサラタウンのサトシ少年。 先々週放送された(09,08,06)、ポッチャマがマリルに恋をする! という話の際にも タケシ「ポッチャマはあのマリルと仲良くなりたいんだよ」 ヒカリ「えー、ホント?!」 サトシ「ポケモン同士が仲良くなるんなら別に普通だろー?」 とのたまってみたり、 タケシ「好きな子にちょっかい出す奴がいるだろ? あのエレキッドはわざとマリルから狙いを外してたんだ」 サトシ「だから、それはあのエレキッドの命中率が悪いだけだろ」 などと数々の素敵発言を繰り出してくれた。勿論皮肉です。 そんなサトシ少年だがですが、昔、本当に昔は別にそんな子じゃありませんでした。カスミの浴衣に紅くなったり、タケシの行動に冷ややかなツッコミを入れていたり、そんな時代が彼にもあったのです。 ええ、既に古き良き時代と化していますけれど。 今回は、そんなサトシ少年の変化を軽くまとめてみたいと思います。ちなみに資料は俺の脳内に保存されていたポケ書の記事、脚本家首藤剛さん(金銀編まで脚本に関わっていた方。かのミュウツーの逆襲やルギア爆誕は彼の手によるもの)のコラム、そしてウィキペディアとポケモンまとめウィキ、ポケ友人達のおぼろげな記憶から聞き出した話です。すでに私の脳内なので劣化している可能性は否めませんが、ネットに繋げないのでこれでいくぜ。 ※図表訂正:無印からオレンジ諸島への移行は1998年、オレンジ諸島から金銀への移行は1999年です。おそらく。 エクセルでやっつけで作ったやつをキャプチャしてgif変換しただけなので見づらいかと思われるますが、スルーして見てやってください。 まず、表にまとめてみて判ったことなのですけど、いや最初から判りきっていたんですけど、サトシが急速に鈍くなっていったのはAG編移行後です。ハルカとマサトの父、センリの浮気騒動があった時を回想してみると、 ポケモンセンターを舞台にセンリ一家+タケシによる浮気したのしないのの寸劇が演じられた。しかしこの時、サトシ少年は何故か一人(+ピカチュウ)ジムの温室でナマケロやケッキングと遊んでいた。 つまり、「お前は色恋沙汰に首突っ込むんじゃねーよ」と制作側にお墨付きをもらってしまっているということですねわかります。というかレッテルと言った方が正しい気がする。 では、彼はいつまで恋愛事情に首を突っ込んでいたのか。少なくともカスミがいなくなった瞬間にその時間は終わったんですけど、カスミがいた頃もにぶーくなってきている傾向はありました。 ラティアスの最後のシーンをよく思い出してください。ガードがかかっててキャプチャできなかったので画像は載せられないので、手元にソフトがある人は再生することを推奨します。 さて、ラティのラストと言えば衝撃の「ラティアス、サトシにキスしますた」です。私はずっとここでさようならサトシのファーストキスなのかと思っていましたが、よくよく見ると口ではなくサトシの左ほおにしていました。ラティアス、流石にそんなことしたらカスミ様にぶち殺されるということを理解していたようです。違うんですか。 そんなキスされちゃったサトシ君、直後に大あわてのカスミ&タケシにアングルが切り替わるのであまり気にならなかったんですけど、実はこの時サトシは顔色一つ変えていません。 キスされたのに、顔色がまったく変わりません。 健全な十歳児の反応としてどうなんだろうか。でも、サトシがキスしなれてるから別にどーってことないなんてことはあり得ない。あってはいけない。つまりここでサトシはキスされて恥ずかしいという概念をそもそも持ち合わせていなかったということになります。 カスミ様ヒロイン君臨期からにぶかったわけです。あっちゃーって感じですね。 でも、その一方でなんだか妙に女々しいとこもあります。 サトシがカスミにもらったものというのは私が知る限り二つあって、釣り竿のルアーとハンカチです。詳しく聞いたところによるとハンカチはタケシが餞別にくれた弁当を「これに包みなさいよ!」とくれたらしい。なんていじらしいツンデレなんだ。 ともかく、そんな二つのアイテムには後日談がひっついています。 後日談1:ある時、サトシがその釣り竿を使っていたら、落っことしてしまった。飛び込んで取りに行った時ルアーを真っ先に保護した(らしい) 後日談2:釣り竿を使っているときハルカだかヒカリだかが触ろうとしたところ、全力で拒否した(らしい) 後日談3:カスミにもらったハンカチは未だにずっと持ち続けている(らしい) 全部(らしい)って正直どうなんだよ! とは思うが見てないんだもん、しょうがない。とにかくサトシは恋愛不感症のくせにこういうところが何故か女々しいということがわかればいいんだ。間違ってても責任はとりませんけど。 カスミ関連でなんだかんだそういう部分が(かなり細々とだが)生き残っているのはやっぱり当初はカスミとサトシを公式カップルにしようともくろんでいたのが原因なんじゃないかと思うんですね。カップルというとなんかあれな感じですけど、まあ、だいたい主人公とヒロインの理想の関係を想像してもらえればそんな感じで。 サトシはともかく、少なくともカスミはサトシに多少なりとも気があるはずです。そうでなきゃ「自転車返してよね!」というのだけを理由にサトシの旅についてなんか行かないでしょう。だってあの旅は無茶苦茶ハード。吹雪の山を通過したり(イワークでビバーク)映画が出るたびに大事件に巻き込まれる。私なら嫌だね。 しかも、カスミヒロイン時代終盤になってくるともはや自転車のことなど完全に忘れ去られている。カスミと別れる時になって突然自転車が直りました。なんて言われても途中参加の視聴者にはまったく意味が通じない。 そんなカスミ様のツンデレが最大限に発揮されたのが劇場版「ルギア爆誕」。フルーラにキスされ・・・・・・そういやここでもされてたっけか・・・・・・あれ? この時は紅くなってたっけ? 覚えてない・・・・・・まあとにかくその後カスミの機嫌は最高に悪くなりイライラ。なのにサトシは「さっきの子かわいいなー」とか言ってしまい逆鱗にもろ触れ。タケシがいれば収まったかもしれないですけどケンジ程度じゃどうにもなりませんね。 でもカスミ様はいざとなればサトシの為に荒ぶる海に身を投げ出すのよ! 水タイプジムの子だからなんて言わせないわ! でもまあ、そもそもはフルーラもいけないんですけどね。最初にカスミにかけた言葉が「(サトシの)彼女?」で否定されると「じゃあ妹?」ですからね。なんで妹なんだ。明らかにサトシより背が高いのになぜ。ここでもし「お姉さん?」って聞いてたら多少展開が変わったと思うんですよね。あー、わかる? こいつ馬鹿で大変でさーって。 さてさて、そんなルギア爆誕の最大のポイントがこれだ。 ※台詞はだいたいの記憶で構成されております。確実に間違ってます。 フルーラ「サトシのこと好きなんでしょ?」 カスミ「なんであたしがあいつのこと!」 フルーラ「そう?」 みたいな会話があって、 ムサシ「ガキが好きだ嫌いだ言うのは十年早い」 コジロウ「お兄さんお姉さん五年遅い・・・・・・」 これです。これですよ。カスミはサトシのことが好きでムサシとコジロウは25歳だったということまでいっぺんに判るなんとも美味しいシーンです。ウマー そして終盤、笛をカスミに渡しサトシを助けにいくというフルーラに笛を返し、カスミ様はこう言うのです。 カスミ「これ(笛)はあなたのもの。だからあなたがもってて」 フルーラ「・・・・・・!」 カスミ「あいつは私のやっかいもの、だから、私が」 カスミ様がサトシ所有宣言をするというのがこの映画で一番大事なところなんですよ。山ちゃんルギアがかっこいいのも大事ですけど、DVDなら「ヤドキングのいちにち」も重要ですけど、やっぱりカスミ様のこの台詞がすべてだと思います(誇張しています)。 元々、なんでカスミだけ恋するヒロインだったのかというと(サトシに、という意味なのでハルカ→シュウはここでは無視で)それ以外彼女に役目がなかったからでしょうね。原作のルビー・サファイアからコンテスト機能がついてハルカやヒカリには「トップコーディネーターになる!」という役目が与えられましたけど、カスミ様は本当にただ忘れ去られた自転車を理由にくっついてただけ。 一応タケシツッコミもやってましたけど、それしか存在意義が無かったらヒロインなんて言えないし。 そんなわけで世界の美少女カスミちゃんは今で言うツンデレ属性を身につけサトシに恋することでヒロインの座を確固たるものにしたわけです。めでたしめでたし。 カスミがそういう役目を負っている以上サトシも「恋? それコイキングの仲間?」とか言ってるわけにいかないので(っていうかだから当初はそういうキャラじゃなかったし)普通に、ふつーに十歳男子やってたわけです。タケシのお姉さんフィーバーを見れば「まったくタケシは・・・・・・」みたいなことを言うしカスミがめかしこめば照れてみるし、それにこれは首藤さんが公開なされていた元の脚本を読んで初めて知ったんですけど(最初の頃はアニポケ見てなかったんですよ・・・・・・)、ポケモン塾の話があるじゃないですか。優等生のセイヨちゃんが出てくる話です。 要約するとこんな話。 ポケモン塾のおちこぼれの男の子はセイヨちゃんたち優等生グループにいじめられてて、それを見たサトシがセイヨちゃんに勝負をしかけます。バッジ5つの実力がある、というセイヨちゃんを当時バッジ3つしか持っていなかったサトシ君はきたない方法(1対3とかそんなだったような)でタコ殴り、とりあえず勝ってしまいます。そこでセイヨちゃんはバッジ相当の実力がすべてではないということに気づき、そのいじめられていた男の子といい感じになり、サトシ一行は次の目的地へ向かう、こんな感じです。 で、この話の何が大事かというと別にサトシが卑怯な方法でセイヨをタコ殴りにしたことはどうでもいいんですよ。あらすじに書いた通り、最後何故かいじめられっ子(セイジだった気がする)はセイヨといいかんじになるんですけど、それをみてサトシがこう、ぽつん、と言うんですね。 サトシ「なんでオレ達はああいう風になんないのかなぁ」 カスミ「なるわけないでしょ! 自転車ちゃんと返しなさいよ!」 ・・・・・・ナ、ナンダッテー!!!!!Σ(゜_゜)// 放送された脚本にもこの台詞が残っていたかは知りませんが、残っていたら個人的に大ハプニングです。ああ、何故TSUTAYAはビデオを撤去したの。 つまり、首藤さん的にはサトシもカスミが好きだったってことですね! しかもそれをさらっと口に出せるなんて! さすがはサトシ、惚れるわ。 そもそも、サトシ達初期アニポケのキャラ設定はシリーズ構成をしていた首藤さんがされたもの。つまり首藤さんの脚本が一番ストレートにサトシのキャラを表しているはずです。首藤さん万歳。シリーズから手を引いて8年も経った頃にウェブ公開してくださりありがとうございます。 ちなみに、カスミの複雑な恋心とサトシの微妙な心境は二巻までしかないアニポケの小説版(首藤さん著)に細かく描かれています。アニメ本編では明かされない、というか微妙に食い違っているような気がしないでもない補足設定もたくさん載っているのでぜひ一度読んでみてください。私は何故か近所の図書館が購入していたので読んでみました。どうでもいいですが挿絵はキャラクターデザインの一石小百合さんによるオール描きおろしです。無駄に豪華です。でも売れなかったらしい。 カスミとサトシは実は10歳で卒業の学校に通ってたとか、(住んでる街が違うので学校も違うんですけど)いじめられっ子というかハブられっ子でシゲルがちょっかい出してくれるまで家のポケモンと淋しく遊んでたとか(第一話でテレビを見てガッツポーズしてるのは人間関係がリセットできるからだったのかもしれないですね!)サトシ父はニビジムすら突破出来ず家に帰れないとか、サトシ母のハナコさんは食堂を経営しているとか、そういうことが判ります。素敵。 話を本題に戻して、何故サトシがAGから恋をコイキングの仲間と勘違いするようになったか考えます。理由はあんがい簡単です。サトシが保護者にならざるをえなくなったからです。 今まではヒロインのカスミがどちらかというとお姉さん的な役割を果たし暴走するサトシにストップかけたりしてくれてたのですが、ハルカはガキです。ゆとりカモーです。サトシがやりたいことやってたらタケシ以外止められません。しかもハルカも好き勝手やります。サトシが好き勝手やる余裕なんか無くなります。マサトもいるし。 そんなわけで保護者ポジションの仲間入りをした主人公は色恋に首を突っ込んでる余裕がなくなります。ハルカは別にサトシに恋をする必要なんかないし。 そして次第に恋愛を忘れていったサトシは自分に向けられた好意に気づかないキャラに性格変更されます。というかその前にきちんとやるべきことをやって時には必要なだけ我慢もするという性格にされています。もはや別人レベルの変わりよう(そういえば、最近サトシが「えー」とか不満を言っているところを見たことがない・・・・・・)。 で、ダイパになり主人公とヒロインの年が9つも離れてきた頃にはすっかりロリになんか興味がなくなっていたのでした。カムバック同年代。 そんなわけで考察というよりただのぐだりになってましたが、これが私のサトシ恋愛論です。結論を言えば サトシとカスミが一緒に旅をしている頃は普通だった。でもヒロインがハルカになった頃に保護者ポジションに移動、ヒロインがヒカリになる頃には恋という概念を忘れていた。 こんな感じです。 では、締めということで。 いつの日かカスミ再来とかをきっかけにサトシに恋愛概念が戻ることを信じて――! ご愛読ありがとうございました☆(ソードマスター風。) |