あとがき
カイ=キスクが××だと知った時、というか、××になりかけていると理解した時、「この子やっぱ天使だったんや」と思いました。もちろん彼が天使なのは私の頭の中でだけだったんですけれど、そういうわけで、書きたいものを書いた結果がこれです。
天使と言っても、いや羽が生えてるキスクほんま神々しくてうつくしくて拝み倒したいのでそういうところも書きましたけれど、別に彼は神様の使いとかではないので、基本的には「天=人間の手の及ばぬ場所であるバックヤード」から「遣(使)わされた」という意味での天使という表し方をしています。最初はとりあえず「天使キスク」って言っていたので自分の中で定義が定まるまでだいぶ曖昧でした。どうでもいいんですが「世界を存続させるためのシステムが必ずしも人間の存続を約束するとは限らない」というのは資料集とかでもフレデリックが言っていた啓示の仮定からになりますが、秩序という考え方はキサラギの方から来てます。剣の端から氷出す方。
キスクに対してソルが優しすぎない? って途中悩んだりもしましたが、ドラマCDが正史っぽいのであの段階で態度に出ないだけでソルはすごいカイに優しいし執着してたんだなって思う次第です。だってあのソルが遺言を律儀に十年も守って勝ち目のない戦いを続けてるとかよっぽどだよ。これもうここ十年間の間にものすごいたくさんの先人諸氏が言ってきたことだろうと思うけど私も思うので言います。すごいよこれ。マサルさんかよ。
白銀の迅雷で書かれていた、人殺しの目、というような一文がすごく強烈に残っていて、カイ=キスクは恐らくそれほどひとごろしをしたことはないと思うのだけれど(彼のために死んでいった部下たちのことも人殺しに含めて、たぶん自嘲しているところがあるのだと思う)(それと白銀の迅雷よりあとの話だけど元老院は人殺しの範疇に入るのか謎)、じゃあ人を殺せと言われた時、それが正義のためと判じれば彼は躊躇いなく人を殺せるのか、と考えました。それで、聖騎士団に所属していた頃なら概ねイエスかなと。警察機構時代からそれも多少軟化し始めるだろうけれど、連王就任以降も、必要なら、多分、出来るのかな、とも。
何かを殺すことに慣れ過ぎているのだと思う。彼はあんなに敬虔な生娘のようにまぶたを閉じて片膝をつき、十字架へ祈るのに、きっと自分が死後に天国へ行けるとかはちっとも思ってない。では彼は何に祈っているのか。彼の世界に万能たる全能神がいないのならば(いないと知っているはずだ、だって聖戦は人を殺しすぎた)、何が彼を衝き動かすのか? 彼の正義の、本当の意味とは? いっぱい考えて、今のところの答えを書きましたが、Xrdシリーズ終わる頃にはなんかまた変わってるかもしれない。優柔不断だ。
そういえばXrdから年表が実装されたりそもそも正確な年月日が表示されるようになったりで、時系列を追うのが随分楽になりました。そのぶん大雑把で済んでいたところが細分化されて面倒になったところも勿論あるんですけど。入団十歳で、それ以前のプロフィールが白紙っていうのは相も変わらずなカイに夢いっぱい妄想いっぱい。アルカディアのインタビューか或いは大会とかのイベントか何かでミギー御大が「カイの出生には秘密がある」って言っていたらしいというの、これももう結構前の話になると思うんですが、そういうところにまたロマンを感じます。××化で手っ取り早く真人間を止めてしまったカイだけど、それ以前の問題で、もっと別の何かだったらみたいな。
カイのプロフィールの白紙部分に好き勝手な捏造を詰め込むにあたって、時系列を整理し直したりするためにライブラリや自前で筐体を直撮りしてアケエピモを溜めてたりしたんですけれど、本当にXrd以降の話は一回じゃ全然何もわからなくて何周も何周も見直しました。その結果終盤は書きながら頭の中で色々なものがごちゃごちゃになってしまっている感じもあるんですが、勢いで押し切りました。
たぶんレベレーター以降の公式の展開で色々と齟齬が出てくる話だと思うんですが、それは最初からわかっていて、むしろ今だから天使キスクの話が書けるという熱意でゴリゴリ書いた感じです。すごい楽しかった。欲を言えば聖騎士団時代とか警察機構時代とかGG2時系列のソルカイもっと書きたかったけどこの話にあれ以上入れる必要ないなと思ったので……というかGG2からXrdまで全然時間的に開きがないんですね……本気で一年弱しかないしオヤジはすぐ閃牙回収に行っちゃうしさ……。
そういえば天使キスク、世界を七日で滅ぼした時のカイの姿はヴァステッジの衣装でイメージしてました。あの両サイドから長めの後れ毛が降りてる横顔は本当に麗人という言葉が似つかわしいと思う。どこまで美しくなったら気が済むんだろう、あの坊やは……
独り言が長くなりましたが、最後に謝辞を。放り投げた内容をチェックしてくれたり対戦に付き合ってくれる友人、いつもありがとう。
そしてこの話を読んでくださった皆様に感謝を込めて、ここで筆を置かせていただきます。ありがとうございました!
2015.10.23 倉田翠
作業中BGM♪
「Apocalypse 罪狩りの聖女」(Zektbach)
「Awe Of She」(石渡太輔)
「Holy Oreders (Be Just Or Be Dead)」(石渡太輔)
「Idola」(iconoclasm)
「Magnolia Éclair」(石渡太輔)
「moon_child」(少年ラジオ)
「Still in the Dark」(石渡太輔)
「ザナルカンドにて」(植松伸夫)
「シュガーソングとビターステップ」(UNISON SQUARE)
「生誕のレクイエム」(浜渦正志)
「嘆きの樹」(金獅子)
他
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