その他用語



作中で使用した用語でちょっと調べるのはめんどくさそうなやつとか、あと捏造した部分の補完とか。思いついた順。
作中のネタの解説とかもしてて割とサムいので、そういうのがお好きな方以外はあまり閲覧しない方がいいかもしれません。



サムソンとディライラ
 ベッドマンとディライラのこと。ディライラはフレディ・マーキュリーの愛猫から名前を取られたという説が有力であるが、その兄であるベッドマンの本名は現状公式からは明かされていない。ではなぜサムソンという名を便宜的に宛がったかというと、旧約聖書に登場するペリシテ人の女性「デリラ」が英語読みでは「ディライラ」になり、彼女の夫が「サムソン」という名だったからである。当然根拠のないあてはめなので、あまり深い意味はない。
 ディライラには、アッカド語で「イシュタル(メソポタミア神話における性愛と戦、金星の女神)の賛美と威光」、アラビア語で「妖婦」「誘惑する女」、という意味があるとされる。

写真
 今作でジョニーのトレジャーハントにより確認出来るカイの大事なものが「赤子のシンを抱き抱えているディズィーの写真」であることが発覚したので、一般市民にまで普及しているかはともかくあの世界にもわりと普通にあるっぽいことがわかった。
 戦時下にそんなにカイの写真が残っているのか? とも思ったが、聖騎士団内に隠れカイ様ファンクラブがなかったわけがないので、絶対に闇ルートでカイ様に隠れて盗撮写真が売りさばかれていたのに違いない。ソルが持っているのはその押収品。たぶん当時ソルがカイといかがわしい関係にあったことはなんとなく周囲にばれていたと思うので(妄想)、現場を差し押さえると何故か献上して貰えたのだろう(妄想)。

クローン猫の実験
 2001年ごろからにかけてテキサスA&M大学で進められていたた三毛猫の「レインボー」からクローン体「Cc」を作成する実験。
 おとなしく、ふくよかな三毛猫のレインボーから採取されたまったく同一の遺伝子で作成されたはずのCcは、好奇心旺盛でスマートな白地に灰色の縞猫に育ったという。もともと完璧に同一の遺伝子で生まれた生命だろうと内面までは同じに育たない(一卵性双生児にまつわる研究から)と言われていたものが、容姿さえも全くの同一になるわけではない、という実証を得た最初の実験である。

ゲノム編集
 旧来の遺伝子組み換え技術とは異なり、狙った遺伝子の一部分を人為的に任意の形質に書き換える技術のこと。2016年現在ではまだブラックボックスの領域が多く、また、ヒトの受精卵に対するゲノム編集技術に対する倫理規制の早期締結が議題となっている真っ最中。
 2015年に中国の研究チームが(彼ら曰く正常に発生し得ない、一つの卵子に対して複数の精子が受精してしまった異常な)体外受精技術によって作られた受精卵にこの技術を用いた実験を行い、世界中で非難囂々の嵐が巻き起こった。この実験では狙った箇所を思い通りに書き換えられたのは86個中たったの4箇所であったとされ、その他はオフターゲット(意図しない領域での異常な変化)が起こってしまい、技術改良の余地が大いに残る結果となっている。

世界五分前仮説
 バートランド・ラッセルによって提唱された哲学分野における思考実験のひとつで、懐疑主義に基づく。簡単に言えば、今私達が認識している世界はたった五分前に出来たものに過ぎず、それまでの歴史が存在しているというデータをプリセットされてそう信じ込んでいるだけなのではないか?というような考え方のこと。この思考実験から、知識とは一体何で、どこから来たものなのか?という考え方に繋がっていく。似たような思考実験に「水槽の脳」というものがある。
 作中ではアクセル(因果律干渉体)が認識した事実に強引に歴史が上書きされていく事象を揶揄ってこの単語を用いている。BBシリーズで言うところの観測と多分似たような感じ。

エグリゴリ
 旧約聖書偽典の一つ「エノク書」に語られる堕天使の一団。ギリシア語で「見張る者」という意味の言葉を原義に持つ。
 堕天使として名高いシェムハザ等をそのリーダーにもつ200人ほどの天使の群れで、人間の娘達を娶り、禁じられた数々の知識を地上の人間に教えたところ、男達は武器による争いを、女達は化粧で男に媚びを売ることを覚え、それにより地上に不敬虔や姦淫をはじめとした様々な悪行がはびこり、さらにはエグリゴリと婚姻した人間の女性たちの間には身の丈1350メートルを越す巨人(ネフィリム)が生まれ、彼らは地上のあらゆる作物や生き物、人間を食い尽くし、巨人同士の共食いまではじめてしまう。やがて滅び行く人々の声が地上に届き、四大天使がそれを確かめた後、神により大洪水がもたらされた。

ニルヴァーナ
 仏教用語で涅槃を示す言葉。ジャック・オーのホームステージである「ヘヴンズ・エッジ」が同名のロックバンドから来ているので、バックヤードの一区画っぽい感じのロックバンドを探して、オアシスとかと迷った末ニルヴァーナに決めたというわりとどうでもいい裏話。
 元ネタになったバンド「ニルヴァーナ」は1987年に結成されたアメリカのロック(グランジ)バンド。ロック・ミュージックのシーンを大きく揺り動かした偉大なバンドのひつで、代表的なアルバムに「ネバーマインド」、代表曲には「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット(Smells Like Teen Spirit)」等がよく挙げられる。

ヒューストンの宇宙センター
 アクセルは早くその話を詳細にバラしてほしい。
 学生時代のフレデリックはヒューストンの近くに住んでいたのだろうか。それとも免許を持ってたみたいだし、隣州ぐらいには離れていたのだろうか。

マルゴーの2009年もの
 ボルドーワインの第一級に格付けされる五つの品種のうちのひとつ、「シャトー・マルゴー」、通称「ボルドーの女王」の2009年もの。
 2016年現在でも日本円にして一本二十万円ほどの値がつくので、百年もの争いにより人口も土地もがっくりと減った2181年における価値は、相当なものになっていることだろう。作中では適当に五倍ぐらいして一万ワールドドル(現在の円ドル為替レート110〜ぐらいを基準にガバガバ計算)としているが、正直もっと値上がっていてもおかしくはない。

ラフィット・ロートシルト
 同じく第一級のボルドーワインの一つ、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」。別名「王のワイン」。
 ロスチャイルド家はこのワインにゆかりふかい名家。そのご当主にいただいたワインをがぶ飲みされたら、怒りを通り越して茫然自失にもなるだろう。

ロマネ・コンティ
 説明不要の世界最高級ワイン。ソルが飲み明かした三十万ワールドドル(日本円にして三千万円超)の大半を占めていたのがこれ。
 ここまでくると、カイも最早悟りを開くほかになかったのではないだろうか。

単為生殖
 自然界において、一般的には有性生殖を行う生物が雌単体で子をなすことを指す言葉。代表的なものが蟻や蜂で、例えば女王蟻が子供を生む際、働き蟻は種の多様性を期して有性生殖で生み出すのに対し、次世代の女王蟻を産む際は種の保存性を重要視して単為生殖によって子を産む。他にはタンポポとか。
 個人的に面白かったのが聖母マリアの処女懐胎をマリアによる単為生殖だと提唱する(恐らく文系の)学者の存在で、だから理系と文系って相容れないんだろうな……と感じずにはいられない。
 作中でソルが飛鳥を聖母マリアにでもなったのかと揶揄ったのはこのへんを皮肉ったから。実際は飛鳥の細胞からXX染色体とXY染色体を作成して人工授精させたという話になっていくのだが、それもそれで単為生殖といえばそうなのではなかろうか。飛鳥は男だが。

飛鳥=R=クロイツ
 とうとう明らかになったあの男の本名。文中で日系ドイツ人の三世とか書いてあるが、まったくの妄想でありデタラメである。ただ、飛鳥という明らかな和名に加えてファミリーネームのクロイツがドイツ語であるため、たぶん日独の血は混ざっているものと思われる。……そういえばキスクってドイツ語読みなんですけど、本当に飛鳥とカイは関係ないんですかね?!
 そのへんから勝手にドイツからアメリカへ越して来たというふうな書き方をしているが、実際どこからアメリカへ越してきたのかは不明(フレデリック達とのギア細胞研究チームがアメリカ政府に買い取られていることを考えても、研究室に入る段階ではアメリカに住んでいたものと思われるが……)。
 第一の男に師事した五人の使徒のうちの一人であることがレベレーターによって明文化された。どういう経緯で知り合ったのかはわからないが、使徒と聖皇庁発足などの年代を見る限り、フレデリックやアリアとギア細胞の研究をしている時点で、既に第一の男に師事していた模様。

AB型のRHー
 説明不要のロマンのかたまり。公式設定ではカイの血液型はABとだけ書いてあるが、どうせならRH−までついたほうがロマンが増すと思う。つまるところ単なるフェチズムである。
 世界で一番レアな血液型であり、実際にこの型だと(特にカイのような戦闘職の人間は)輸血に苦労するため、怪我はあまりしてはいけなかったのではないかと思う。
 余談だが、ソルやディズィー、シン、テスタメントなどのギアの面々は公式設定では血液型が不明や解析不能とされている。ギアになることで血液型がわからなくなってしまう可能性が高そうだが、XrdでもカイのプロフィールにAB型と書いてある理由は、彼の血液型がまだ判別可能だからなのか、それともギア化する前の表記を用いているだけなのか……そこらへんは続編が待たれるところである。

レジオンドヌール勲章
 実在するフランスの栄典制度。ナポレオン・ボナパルトにより制定されたもので、もともとは騎士団への叙勲制度からなっている。現在もフランス内で最高位の栄誉である。高位から「グランクロワ(大十字)」「グラントシフィエ(大将校)「コマンドゥール(司令官)」「オシフィエ(将軍)」「シュヴァリエ(騎士、勲爵士)」の五階級にわかれている。フランス人に限らず国外の人物に対しても授与されることがあるが、この場合は記章の授与のみでフランス名誉軍団(オルドル、騎士団)への加入は行われない。
 作中でカイがいないとどうにもならないとレオに言われていた十二月の式典はこれ。イリュリアはローマを首都とする新興の超巨大国家なので、こういう、旧ヨーロッパエリアのシステムが引き継がれていたらいいなあという理由で名前を出している。カイはフランス人なので、フランスの栄誉制度を引用。
 ちなみに過去回想シーンで聖戦終結後にカイが聖騎士団団長として出席することになっていた十二月二十五日の栄誉式典もこれ。

少年のミューズ
 古代ローマの詩人ストラトンが編纂した、ギリシャの詩を集めた詩集。作中で引用した「十二歳の花の盛りの少年は〜」という一節ではじまる詩が最も有名。
 古代ギリシャの少年愛は制度的模範としての側面が強く、徳や知、優秀性を獲得するための一種の倫理観と美によってなりたつものだった。そのため、古代ギリシアの少年愛における性交は、欲に溺れるのは大人のみで少年はむしろ欲をむさぼる大人をひややかに見るべきとされていたという話さえあり、少年が快楽を得ることは悪徳とされたという。しかしながら古代ローマの頃になると、老若男女問わず性愛の退廃が花咲いた影響かもはやそのようなモラルは消え失せ、互いに肉欲に溺れあうような、「善(アガトン)」の概念からは遠く離れたものになってしまっている。
 第一の男は飛鳥に執着していただけで別に少年愛者であったわけではないと思う。多分。
 でも十五歳のカイに手を出した聖ソルはちょっとアウトな気がする。

カイ
 ギリシア文字における二十二番目の文字、「Χ」。小文字の「χ」の方は数学でよく見たアレ。読みは「キー」あるいは「カイ」。救世主クリストス(キリスト)の頭文字であり、その形から十字架を示す意味も持っている。
 無論カイ自身の名前の元ネタはロックミュージシャンのカイ=ハンセンとマイケル=キスクからだが、それっぽい由来を探しているうちにこのへんに辿り着いた。しかしながら、カイが十字架をモチーフとするキャラクターであることと、χという文字が持つ十字架の象徴性は、実はけっこう意識されているのではなかろうか……と思うが、はたして。

かくあれかし/アナテマ
 「かくあれかし」は「アーメン」の和訳。そのようにありなさい、そのようであってください、という意味。聖句等に続けてアーメンと唱えるのは、神への祈りを唱えたのち、そうでありますように、とお願いをしているから、なのだという。また「アナテマ」は「神への奉納物としての『異民族の殲滅』」を意味する言葉で、転じて「呪われよ」、という意味で用いられる。RPGとかで敵がアナテマという技を使うと一度にめちゃくちゃな量のバッドステータスがついたりするのは、そういう語源だかららしい。FF13とか。
 ちょっと主旨がずれるが、8話の冒頭で引用した賛美歌(あの部分は積極的に読み飛ばしてください、すみません)は「聖なる、聖なる、聖なるかな(Holy,Holy,Holy,Lord God Almighty)」の一番と三番で、イザヤ書とヨハネの黙示録からパラフレーズして作られた聖歌。たくさんHolyと唱えるので、カイに歌って欲しかったという、わりと安易な選択理由だったりした。

次元牢
 ジャスティスを封印してたり、初代でジョニーが投獄されてたり、ザトーが入ってたりしたアレ。どうやって作っているのかどの資料を当たっても未だによくわからないので、人によって解釈が割と異なる印象がある。
 一人でぱっぱと行使出来る術ではなさそうなので、そういう特殊部隊とかが編成されていたのだろうか……と思うが、やはり妄想の域を出ない。

電気羊のドリー
 6話のサブタイトル。SF小説の金字塔「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と世界で初めてほ乳類の体細胞クローン体として生まれたクローン羊のドリーを足して二で割っただけ。
 電気(雷)属性のカイがクローンかもしれない?という話の内容に合わせて考えたもので、本人はその瞬間傑作だと思って採用したが、後から考えてみればさして伝わらないうえにそれほど傑作でもないような気がしてちょっとへこんだ。

誰がコマドリを創ったのか
 9話のサブタイトル。マザーグースの一節である「誰がコマドリを殺したのか(Who killed Cook Robin?)」のもじり。
 パタリロで知ったので、割と長い間「誰が殺したクックロビン」だと思っていた。

You are Sacred forever(,even if you graduate Child)
 17話のサブタイトルで、一見ただこの話のテーマを英訳しただけだが、やっぱりただ英訳しただけである。一応イスカの流星ステージ(ソル・カイ・イノのホームステージ)BGM「Sheep Will Sleep (,if You Become Fatigued)」を意識したつもりだったが、多分誰にも伝わってない。
 ノリで少年神聖とかいうタイトルにしてしまったので、落としどころとしてこのテーマを持ってくるまでちょっと大変だったが、結果的に本人は気に入っている。