#1 覚醒―目覚め―


「すまんな、カリム」
「・・・・・・いや、君が気に病むことではない・・・・・・」
「おお、サンキューな。オイラ達にはもう迷ってる時間がないん
よ・・・・・・だから」
「手短に頼むぜぇ!」
 戦いの火蓋は落とされた。
「・・・・・・ようさますげえ」
 オパチョが、呟く。
「これなら、ハオさまのいってた“とき”はもうすぐかもしれない」
 そうして、オパチョは己の手のひらを覗き込んだ。
「ハオさまのため、ようさまのため。オパチョがんばる」
 とてとて、とあどけない足音を立てて。
 オパチョは、戦渦の渦の中――葉の元へと、走っていった。





◇◆◇◆◇





「ぅおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ホロホロ、無茶すんなよ」
 葉がホロホロにそう諭す。カリムはホロホロの担当だった十祭司だ。
ホロホロが熱くならないわけがない。
「心配すんな葉。オレはオレでカリムとケリをつけた。・・・・・・オレ達の
心にな」
「そうか。・・・・・・蓮」
「ああ、わかっている」
 今、最も優先されるべきは如何にして最小の巫力で先へと進むかとい
うことだった。その為には連携が必要不可欠なのである。
「・・・・・・阿弥陀流」
 葉が構える。
「・・・・・・」
 それにカリムが無言で応じ、身構える。
 だが、それだけだった。
「ようさま」
「お、オパチョ?!」
「危ねえからお前はそこでじっと――」
 チョコラブがそう言ったが、オパチョはそれを気にせず葉のそばに行
く。
「オパチョじっとしない。オパチョハオさまにいわれたことする」
「ハオに・・・・・・言われた、こと・・・・・・?」
 葉も蓮も、リゼルグもホロホロも、竜もチョコラブも、そしてカリムさ
えも。
 オパチョの言葉に動きを止めた。
 そして。
「ようさま、がまんして」
「?!」
 オパチョの手が、葉の額に触れたその瞬間。

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ぁぁぁぁ!!!!!!!」


 葉は、痛烈な悲鳴をあげた――――





◇◆◇◆◇





「葉明! みんなをここに集めてちょうだい! 幹久! そのオラクル
ベルを貸して!」
「あ、アンナ様?!」
「たまおも急いで。まさか、こんなに早くこうなってしまうなん
て・・・・・・ッ!!あたしとしたことが!」
「一体どうしたというのだ?!」
 皆を集めた葉明がアンナに聞く。
 その問いに、アンナは静かに答えた。
「葉が、危ないわ」



続く




あとがき
やっちまったぜmon-mon妄想伝。もう後戻りは出来ない。
非常に後悔していますがやりはじめたら止まれない。これからもやっち
まい続けますよ。
とりあえずキーワードは「葉王の記憶」。千年続くそのしがらみ、麻倉の
血。
恐山ル・ヴォワールで木乃さんはアンナの事を血塗られていると言って
いましたが葉だって十分血塗られていると思う。

その生まれ―麻倉に。
その能力―麻倉の末裔であるが故の高き力に。
その運命―葉王の半身たるさだめに。


そんな葉を支えていたものがなくなり、もしもその身に未だ秘められた
「記憶」という血塗られたモノが眠っていたとしたら。それが目覚めてし
まったとしたら。
そう考えるとすごぉく怖いと思うんですけども・・・・・・どうでしょうか
ね?





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