※性描写を含みます。高校生以下の方は閲覧をご遠慮ください。
※セカンド敗北バッドエンド
※ベクターの言葉遣いが直接的にきたない
※なんかもういろいろとご注意ください
















のひつじとおろかなおおかみ




「ひゃあああああああっ?!」
 ビリビリビリ、とやたらに派手な音がして布が破ける。ゼアルセカンドは縛り付けられたまま自由を奪われた四肢を恨んだ。セカンドの身を守る殆どであったアーマーはとっくに破壊されており、見る影もない。
「ヒャーッハッハッハァ! 無様だなぁセカンドォ! それとも遊馬か? 俺に何て呼ばれたいんだ? なあ!!」
「ぐっ……う、どっちでも、変わんねえ、よ……!」
「まァそうだろうな。何をどう定義しようと、お前の今の身体がそのなよっちくて女々しいゼアルセカンドの肉体を構成している事実は変えようがない。さて」
 セカンドの身を唯一覆っている黒いボディスーツは、無残なまでに切り刻まれあちらこちらから生身の皮膚を晒している。生白い肌は擦り傷や切り傷に苛まれ、美しいはずの皮膚はところどころ裂傷から零れた血に塗れて赤くなっていた。ベクターがその様に舌なめずりをする。こんなに魅惑的で幻惑的な肢体が、それもベクターの好むところである傷付いた姿形を惜しげもなく晒してぶら下げられていることが、そうあることだろうか?
「どうして欲しいですか、ゆうまくん」
「放せっ。この腕、解放しろよ!」
「ヤだね。何のために拘束したと思ってんだ。お前に自由に暴れられると困るんだよ。大人しく……」
 ぴっとりとそって包み込んでいたボディスーツが破けて露出した素肌を、指先でツツ、と厭らしくねっとりとなぞり上げてベクターはますます笑みを深めた。これだ。こうでなければいけない。なぞる指にまばゆいばかりの鮮血が付着する。躊躇いなくそれを口中に運んでぺろりと舐めた。鈍い鉄の味。遊馬の、人間の血と同じような。
「俺に暴かれてろ。究極態ゼアルっつっても、身体のメカニズムはどうやら人間と同じようだな。刺激を与えられれば否応なく反応しちまうし、電気信号を送信されたらそれに従って身をよじるしかない。この意味がおわかりかな? どうだ? なあ??」
「やだ……やだ……やだっ……!!」
「さあて。よからぬことを始めようじゃないか。自分に正直になった方がいい。これから先、身体に嘘は吐けないんだから……」
 べろべろと舐め上げた指先を今一度セカンドの身体に――しかし今度は裂けた服の隙間ではなく、まだ頑なに覆っている股間のふくらみに、伸ばす。セカンドの「そこ」は既にセカンド本人の意思によらぬところで完全に勃ち上がりきっており、ふくらみを生んで布を張り詰めさせていた。それにいとも容易く爪をかけ、ボディスーツの生地を引き裂く。押し込めていた布から解放されたセカンドの象徴がぶるりと派手に震えて天を向いた。
「尤も、その身体に限りなく事実に近い嘘を吐かせるのは簡単なんだけどな。じゃあ……始めるとしようか?」


「やっ、やあっ、ぁ、あ、あァ、んっ……!!」
「はっ、ホンット最高だぜお前ってやつは! どうだ? 俺様の極太デカチンポ美味いだろ? 上の口でいくら否定しても下がこうじゃあな。まったくもって説得力がないってやつだ……」
 よく解けた腸の奥深くまでを串刺しにせんばかりの勢いでガツガツと突き上げてベクターが下卑た笑い声を漏らす。ベクターに揺さぶられる度にセカンドに纏わり付いたままだった「服だったもの」の残骸、切れ端が一つまた一つとひらひら地へ落ちる。
 男根を張り詰めさせて期待に震えていたセカンドの腸はあっさりと侵入者を許し、ベクターの男根を受け入れていた。一切れ、また一切れと布が取り払われていくその最中で少しずつ、隠されていたセカンドの裸の肉付きが芦原になっていく。あの特徴的な紋様の刻み混まれたボディスーツ、あれらの模様とまったく同じ位置にセカンドの身体に染みをつくるように青緑に光るラインが入れ墨同然に引かれているのだ。その紋様達はゆらゆらと妖しく光り、セカンドに相対しているベクターの視線を釘付けにする。
「この紋様、身体に直彫りだったのかよ。薄ぼんやり光って……弱々しくて脆っちくてまるでお前みたいだなセカンド。まったく甘美というべきか、エロ雌とでも言うべきか、とんでもない聖痕もあったもんだな」
「違ッ、スティグマータ、あ、は、そんなんじゃ、」
「つうか中央のこれなんなんだよ、この矢印。一直線に伸び上がって……その先には何がある? へそと股間だけだ。そして女ならば、子を成す宮が。つまりそういうことだろォ? セカンド、まず自覚しろ。こんなマークを見て誘ってると思わない男はいねえ。これはよーするに『ここにいっぱいやまほど溢れるぐらいたぷたぷに注ぎ込んでくださいお願いします』っつー懇願の印なわけだ」
「?!」
「そして俺はとっても優しいのでその通りにしてやるだけの力も根気もある。ひたひたのビチャビチャのグチョグチョにしてやる。お前が気絶するまで、俺はそれをやめない……」
「嘘……」
「そういう選択肢が、俺には選べる」
 ベクターは無慈悲な声音で、とても残忍な表情でセカンドとの距離を詰めていく。二十センチ、十五センチ、十センチ、そして息がかかるような近くで。皮膚が触れ合うほどの近さで、男は囁き声を上げる。
「嘘だ」
「嘘じゃない」
「なんで……」
 最早セカンドの喉からは、救いを求める子羊のような、侵入者に強姦されているシスターのような、そんなか細い声しか出てはこなかった。そうしている間にもベクターはセカンドの中でその存在感を増して、そしてセカンドの柔軟な肉体はそれに呼応していくのだ。まるでお互いに求め合っているように……
 恐怖でうわずった声を出したはずみにきつく締め付けてしまう。ベクターが、くっ、と呻き声を漏らした。紫色の双眸がくらりと歪んでいる。
「おれできもちよくなってるの」
「そうだ」
 問うと彼はそう答える。
「どうして?」
「さあ。どうしてだろうな?」
 ベクターの両腕がセカンドの身体を抱きかかえるようにして包んだ。夜泣きしている子供をあやすために抱きかかえるみたいにだ。その時の声だけは、どうしてだろう、酷く優しかった。心臓が痛い。
「どうしてだろうな……」
 セカンドの胎内でベクターが絶頂を迎える。どろどろとしたものが身体の中にぶちまけられて、奥深くへと散らばっていく錯覚を覚えた。セカンドの身体中に走る聖痕は、それを歓迎するように明滅する。
 それはまるで、感覚の昂ぶりを自らを犯す男に見せつけているかのように。