STORY

 棺桶の中に横たわっているみたいに、青い花に押し潰されるようにして死んでいた。青い花は全てトーマスが手向けたものだった。ブルーファイアー。リンドウ。カンパニュラ。ガーベラ、パンジー、モスフロックス、ムーレアナ、ビオラ、ローズマリー。オーブリエチア、クレマチス。ネモフィラ。
 埋まって、その死体は二度と目を見開くことはない。
 トーマスが殺したのだ。

 トーマス・アークライトはある日を境に墓へ花を手向けるようになった。それを不審がるミハエル。トーマスの奇妙な行動の意味をただ一人知る遊馬は自らが何をすべきなのかを選択出来ずに俯く。
 世界から消えてしまった兄妹のための名前のない墓。不吉な花言葉たち。
 そして、トーマスは目覚めと共に消えてしまう夢を見続ける。

ATTENTION

シリアスめのW璃緒中編です。アニメ放映当時に書いたものなので、本編終盤の展開との齟齬を大幅に含みます。一種のifパラレルとしてご容赦ください。ハッピーエンドです。
イラストは波吉様より。

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