あとがき


 遊戯王のデッキテーマの一つに「TOD(タイム・オーバー・デス)」という制限時間切れによるエキストラターン持ち込みからの勝利を狙うタイプのものがかつて存在していたのですが、その派生の一つに【ワールドトランス】という名前のものがありました。開発者曰く「《現世と冥界の逆転》を組み込んだ永遠の輪廻転生をコンセプトにしているので輪廻転生を意味するtransmigrationを略して名付けた」しろものらしく、私がこの名前に強く惹かれたのがこの話を書こうと思い立つ間接的なきっかけであったことを覚えています。
 当時確か「雪の女王のテーマ」からペルソナシリーズに片足を突っ込んだばかりで、トリニティソウルをちょこちょこ見たり、ペルソナ3は漫画しか読んでなかったりそんな状況で、何故だか思いついたのはトリニティソウルとペルソナ3のクロスオーバーでした。その話を考えている内にペルソナを操る黒猫や、敵としてのニャルラトホテプの可能性など、そんなことに思考が走っていって、書き始めるまでにトリニティソウルを見終わり、ペルソナ3をクリアし、異聞録と罪と罰もクリアして、そうしてこのお話に臨みました。
 好きなキャラを集めてごった煮にしたら思いの外大所帯になってしまい、上手く伏線を回収仕切れなかったかなあとか、説明不足かなあとか、いくらか思うところはあるんですが、いっぱいいっぱいの気持ちをこめてこの話を書き続けました。またもや途中で完全に別のジャンルの方に気力を注ぎすぎてしまったり、終始別の長編と並行したりで、亀の歩みのようにのったり進んでいた中、2013年秋に公開された映画、そして突然の某貴様による2014年3月にオンリーやります宣言、そういった要素に後を押されてこうして完結するに至りました。
 例に漏れずやっぱり見切り発車で走り出したこの作品ですが、ラストのおおまかなイメージ、「尚也が同窓会に合流する」シーンに関しては書き始めた当初から強く書きたいと思っていた部分でした。結果的に罰をクリアしていない方には不親切な描写になってしまいましたが、この機会に異聞録や罪罰にも手を出してくださる方が一人でも増えてくだされば嬉しいなあなんて思います。トリニティソウルも哲学アニメだなあという印象を受ける方は多いと思いますが、トリソは面白いです!! 神郷兄弟可愛いです!!!
 意外と「P3主人公」という一人のキャラクターについて私の理解出来ていることは少なくて、書いてる間もずっと解釈や考察をし続けていました。答えの出る問題ではないと思うのですが、この作品に表していることが、私が彼に対して感じたこと、私なりの解釈です。彼は、すごく強くてまるで神様みたいに何でも出来たけど、本当は泣いたり笑ったり怒ったり悲しんだりするし、なんでもじゃなくて、出来ることだけ出来る、そんな当たり前の人間だったのだと私は思います。
 彼は、自らの結末を決して運命に選択させられたわけではなく、自分自身の手で選び取ったに違いないと信じて書きました。
 トリニティソウルの解釈から罪罰のED後、ペルソナ召喚における条件など、様々な点において、自己解釈を用いさせていただきました。公式の見解が出ていない部分ですので、人によって考えが違うところではあると思いますが一つのとらえ方としてご容赦いただければ幸いです。


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 最後に謝辞を。
 私の無茶ぶりで誤字脱字その他のチェックに協力してくれた二人の友人には頭が下がりません。そして何度かくじけそうになった時に感想をくださった方、ここまでお読みくださった全ての方に感謝を捧げて、ここで筆を置かせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


2014.03.17 倉田翠




♪作中音楽
「Burn My Dread」(川村ゆみ)
「キミの記憶」(川村ゆみ)

♪作業中BGM
「全ての人の魂の戦い」(目黒将司)
「雪の女王のテーマ」(土屋憲一)
「神話覚醒」(土屋憲一)
「聖槍騎士団」(土屋憲一)
「Heaven」(平田志穂子)
「時計台の鐘」(天野月子)
「白い狂気」(Cocco)
「大事なものは目蓋の裏」(KOKIA)