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*ずっと、ずっと、気の遠くなるような長い間、ふたつの意識は争いを続けていました。一方を殺せば他方も長くは生きられぬ宿命の中、終わりの見えない殺し合いを延々と続けていたふたつでしたが、ある日片方がもう片方に「愛の感情」を覚えてしまいます。
*すれ違うふたりの、三世に渡るもだもだを描きたいラブ・ストーリー。



「十代はずっと、走り続けている。だから俺も走ることを止められない」
 高校一年の夏、遊城十代は一人の少年と数日を過ごした。一年半後の始業式で出会うことになるヨハン・アンデルセン。でも二人は<破滅の光>の差し金でそれを忘れてしまう。
 それから百数年後の未来、アカデミア・ハイスクールへ向かっていた不動十代は精霊ルビー・カーバンクルを連れた少年、遊城・ヨハン・アンデルセンと出会う。
 すぐに打ち解けた二人は親友となり、アカデミアで楽しい毎日を過ごしていたのだが少しずつ事件が重なっていく。
 謎の声、父遊星の隠し事、ヨハンの誤解。
 それらの問題に囲まれてぐるぐるしている内、二人は「相模原モーメント」に辿り着く。だけど二人は、その場所で世界が反転してしまうかもしれないなんてことはちっとも知らないのだ。  


「もう誰かを愛する心なんて要らない。全部、光の中へ消えてしまえ」
 美しい虹が架かる「レインボー・オアシス」の王国に住んでいる十代とヨハンは十六の年を迎えて婚約者になった。
 幸せの渦中にいた二人だが、王宮で「闇の龍と光の龍が災いをもたらす」という予言がなされてしまう。
 そしてヨハンはまぶしい光の中で祈った。「心なんて、もう、いらない」。
 別の時代で、やがて覇王になる運命を持つ王子は従者のユベルと共に隣国を目指して歩を進めていた。
 ユベルはあまりいい顔をしないけれど隣国の王子はすごくいいやつで、面白くて、王子の一番の親友だ。
 出来ればこの先も二人で頑張って平和な国を築いていきたいと思っている。そんなふうに言うと、ユベルは曖昧に笑うのだった。


「この世界にヒーローは、いない。そういうふうに出来てる」
 相模原モーメントから無事に脱出したヨハンと十代は、また何事もなかったかのように日常に戻った。
 でも変だ。ヨハンがヨハンじゃないみたいで、気持ちが悪い。まるで中身だけそっくり別の人になってしまったようだと十代は訝しむ。
 一方、遊星は困惑していた。先日からどうも娘のことが気になって仕方ない。娘とその親友の少年が何か因縁めいたものに関わっているのだということもあるけれどそれだけじゃなくて、何ともむず痒い気分になってしまうのだ。

 保たれていた上辺の平穏が崩れた時、遊星は真実の断片に触れ十代は覇王と出会いヨハンは破滅を司る光になった。
 「破滅の光」が「遊城・ヨハン・アンデルセン」に取って代わり、「遊城十代」という存在が「不動十代」と交錯する時、光と闇の対立は世界の終焉へと加速していく。


「ずっと、君のことが好きだった」
 「戦争をしよう」、と破滅の光は言った。だけどそんなことは、本当は誰も望んじゃいない。だから優しい闇はこう言った。「こんなくだらない連鎖なんか、世界なんか行き詰まっちまえばいい」。
 やがて置き忘れられてしまった過去が甦り、世界(ワールド)は行き止まり(デッドエンド)を迎える。